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余日録


by watari41

炊飯ジャー

 私達が使っている「単位」には概して人の名前がつけられている。身近なところでは、電気のアンペア、ボルト、ワットなどいずれも有名な学者の人名である。
 キュリー夫妻もよく知られている。これを冠した「キュリー点」というのがある。物質が磁気を失う温度のことをいう。鉄は8百度近くまで磁気を失わないが、これにニッケルを混ぜると、磁気を失う温度はどんどん下がってくる。磁気を失うというのは磁石に吸い付かなくなるということである。それがキュリー点である。
 炊飯ジャーが出来てから、美味しいご飯を炊こうと、いろんな工夫がなされた。キュリー点を利用したものも一つの試みだった。どういうものかというと、100℃近くのキュリー点材料を作るのである。それを磁石と一緒にジャーの底にセットする。温度が上がってくると、材料の磁気が弱まり、磁石から離れるので、電気が切れるという仕掛けである。いろんな温度を試みて、最適な炊き上がりのものを探したものである。ひところのジャーを使ったことのある人は、スイッチをONにしてから、炊き上がりに近づくとバタンという音がするのを聞いたことがあると思う。磁石から離れた音である。
 これは何年間かで使われなくなってしまった。もっといいものが出来たからである。最近は「IHジャー」など、もっと進歩した高級なものが出ており、全体的に加熱してふっくらと炊き上がるということのようだ。これも電磁気の原理を応用したものである。
 この他に、電磁鍋なども汚れない器具として最近人気のようである。磁気もこんな形で日常生活に深く係るようになってきた。
Commented by schmidt at 2004-08-30 11:03 x
 初めて知りました「キュリー点」。そういえば、キュリー夫人はどんな仕事をした人だったかなあと、のんき、かつ不明なことを考えてしまいました。

 物理や化学の時間、わたしは苦手でした。原理や法則の説明から入られても、入り口の部分でノックダウン寸前になったものです。「炊飯ジャーがバタンと音がする」話から入ってもらうと、まだついていけたような気がします。
Commented by watari41 at 2004-08-30 19:27 x
 日本ではキュリー夫人の方が有名ですが、磁性に関しては夫のピエールキュリーが磁性に関する種々の法則を発見してます。夫人の協力も大きかったといわれています。
夫人の方が長生きして、夫妻で研究していたラジウムの分離に成功。
ピエールが生存中に夫妻でノーベル物理学賞、後で夫人は化学賞と
2つもノーベル賞をもらったのは、めずらしくすばらしいことです。
ラジウムの研究は一般にも知られており、教科書にもありますが、磁気研究の方はあまり知られてませんね。
schmidt さん、いいコメントをいただきありがとうございます。
by watari41 | 2004-08-28 16:49 | Comments(2)