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余日録


by watari41

人間の運命:⑤

 在職した会社は、常に2流の存在だった。入社した頃は3流だったのかもしれない。
 しかし、当時の製品ラインアップはすばらしいものだった。セラミックの数々は、後に残念ながら他社において大きく成長したのである。売り上げ一兆円企業もある。当時は名も無い会社が今や超一流企業になっている。
 その一つに、チタン酸バリウムに代表される圧電セラミックスというものがある。(これは興味をそそられないと思うので詳しいことは省略)

 また、フェライトというものもある。これは鉄鋼製造過程のカスで作るものだ。鉄を熱間圧延した時に表面にスケールができる。これを原料にしているのである。鉄の2%がカスになるとしても、年間200万トンも出るのだから原料に不足はしない。

 今や、電子と名が付く機器には、これらの材料が欠かせない。しかし在職した会社はこれらの競争にことごとく敗れてしまった。とどめはリーマンショックの渦中に巻き込まれてしまったことだ。ついに滅亡してしまったのである。
 70年の歴史だった。私は、そのうち40年を体験させてもらったことになる。
 市場から名前が消えても、工場は残っている。資本と経営の実態を失ったのである。

 今度は、自動車用リチュウムイオン電池をやるのだという。いつまでも夢のある工場だ。夢を形にと、どこかの宣伝文句で聞いたことがある。

 私も、苦しみながら夢を追い続けた一人である。今や会社は永遠なりという時代ではなくなった。しかし、厳しい時代に入って来たように思う。
 ここで、一旦中締めとすこにしよう。また改めて記してみたい。
Commented by ようこ at 2009-10-31 07:03 x
勤務なさった会社がなくなることは、寂しいですね。
しかし、物を作る工場は残ったとのこと。
苦しみながらも夢を追いかけることができた会社に勤めることができ、そういう意味では、幸せでしたね。


世界的にみると平和な日本に住んでいますが、世の中も山あり谷ありであることを実感したのは、ここ20年バブル崩壊のころからのような気がします。

中締めとのこと、再開を楽しみにしています。
Commented by watari41 at 2009-10-31 08:49 x
 バブルの頃からすっかりおかしくなりましたね。中国も行き着くところはバブルなんだろうと思います。
 会社が成功していれば、仙台や東北に大きなインパクトを与えることができたのでしょうが、これも夢でしたね。
 そのまま、書き続ければ読まれる人は興味あることなのでしょうが、私にはつらいので、一旦休憩です。ようこさん、コメントをありがとうございました。
Commented by クオリア at 2009-10-31 13:58 x
一流の会社は下請け会社を顎で使って来た時代は過ぎ去るでしょう。
下請の匠の技術が結集しつつありますね 一流と言われる会社は衰退して行くでしょう 世の中転換しつつあることを実感します。
Commented by ようこ at 2009-10-31 16:49 x
「そのまま、書き続ければ読まれる人は興味あることなのでしょうが、私にはつらいので、一旦休憩です。」
そうだったのですか。
「辛いことは、無理をしてすべきではない」と、
ここ数年の間に、はっきり思えるようになりました。

病気の子供を助けるとか、そんな場合は、辛いことも自分の命をかけてでもしそうですが、私の場合、今は、辛いことをせねばならないほどのしがらみは、ありませんので、無理をする限界が前よりわかってきたような
気がします。

嬉しい、楽しいの思うことに時間を使いたいですね。
読者を気にせず、どうぞご自分を大事になさって下さいませ。

Commented by watari41 at 2009-10-31 20:39 x
 縦型社会の日本とよく言われますが、いわゆる系列ですね。それが、だんだんと崩れてきているようです。縦から横になるのが、社会の進歩なのかもしれませんね。クオリアさんコメントをありがとうございます。

 ようこさん、そうですね。他のことですと比較的気楽に書けますが、自分のことというのはそうはいかないんですね。
 年が明けると、昔流に言うと古希ということになりますが、気分的には20歳くらいは若いような気がしてます。
 ヨッコラショと立ち上がるんで、それなりに内部劣化は進んでいるのでしょうが、愉快なことだけを思い出すようにしているんです。
 このブログを読んでいただいている人に簡単に自己紹介をしたというようなことです。再度のコメントをいただきありがとうございます。
Commented by schmidt at 2009-11-01 13:47 x
 「夢」を抱けるかどうかが最後は分かれ道のような気がしまっす。人も企業も、イメージするゴールをどう描いて、共有できるかが重要ですね。わたしにが37年もかかわってきた業界も、まさに新たな「夢」を描いて、共有できるかどうかに差し掛かっています。
Commented by watai41 at 2009-11-01 17:20 x
 「新聞再生」という畑仲さんの著作を読みましたが、新聞を発行することに、多くの人達が「期待」というか「夢」を抱いているんですね。しかし次世代の新聞とはどんなものなのか、現在の様式とは大きく異なるような気がしているんです。schmidt さん、コメントをありがとうございます。
by watari41 | 2009-10-30 21:32 | Comments(7)