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余日録


by watari41

断る力

 現代日本人は、「拒否力」というか断る力を失っていると常々思っている。JR西日本の大惨事の調査報告書が事前に漏れていた。調査委員の一人が断り切れなかったのである。遺族の感情を逆撫でし今後の事態を複雑にしてしまいそうだ。

 断るのは相手があっての話である。それに対して「悩む力」は、個人の心にある。人間である限りいろんな悩みがある。姜 尚中さんの同題著作がベストセラーになったのは記憶に新しい。今回は悩むのではなく、断る力を考えてみたい。

 個人レベルでのお断りだけではなく国家レベルでのお断りがある。日本国家としても戦後は、これまた「拒否力」が弱くなった。
 「NOと言える日本」という題名で、石原慎太郎さんとソニー社長だった盛田昭夫さんが対談した本が人気を博したことがあった。断る相手は米国なのである。力関係もあってなかなか今も難しい。当時は強がりを言っているのだと思われたものだ。しかし内心では共鳴する方も多かったのだろう。

 国も個人も弱くなってしまったということなのだろうか。戦前のことを思うと、日本は国際社会にNOを言い続けた。その結果最後には戦争に突入した。
 かつてソ連が国連で拒否権を使い続けミスターNOともいわれたグロムイコさんという人がいた。後年、ソ連はキューバにミサイルを運び核戦争の一歩手前まで行ったが、フルシチョフ首相がケネディの米国に屈した形になった。
 一国が国際社会にNOを続けた結果が戦争、或いはその直前まで事態が進んでしまうのは現代史で明らかだ。北朝鮮の動向が気になってきている。彼らは国力とかそういうことには一切関係なく動いているようだ。

 個人の場合には、対人関係をそこないたくないとか、いろんな思惑がからむ。ようやく借金の連帯保証人にはなるものではないということが定着したかのようだ。保証人となって全てを失った方がかなりいるからだ。

 国家の拒絶と個人の拒絶とでは、大きな差異がある。相手の要求に対して断ることが少なからぬ悪影響を与えるが個人の範囲内にとどまるものは、冒頭の事件などをみても、やむなしと考える風潮が出てくるように思うが楽観的すぎるだろうか。
Commented by クオリア at 2009-10-11 10:02 x
YesかNoかはっきりしないのが古来外国と交流のなかった日本が島国根性がうまれたのでしょう。
大政翼賛会ができ軍事政権ができた選挙違反で検挙できない活字だけの法律になってしまった。原爆投下の予告も闇に葬られ 地獄をみてはじめて降参した日本 良識ある拒絶をしないと大きな犠牲が出rますね

Commented by moai at 2009-10-11 12:04 x
愛想良く、相手を持ち上げて、NOという外交上手な欧米人、一方無愛想にYESという日本人、NOというときはかなりの溝ができる。そんな構図が浮かびます。
個人的には、このモアイ、家内にも子供にもそして最たるのは孫にむかって、NOを言わないダメ爺です。愛嬌ある頑固爺になりたいのですが。
Commented by michiko at 2009-10-11 19:26 x
気軽な提案、重い課題などケースもいろいろですが ヤッパリお互いの関係が損なわれないような上手な断り方が出来ればいいですよね。 東北人はNOをはっきり言わない人が多いような気がします。
Commented by watari41 at 2009-10-12 21:03 x
 あいまいさ、うやむやさ、玉虫色など、何とか当面をつくろえばOKだというようなことが多いですね。天皇でも終戦を早めるためのNOを言えず、周辺の人達が、最後の判断を下しやすく環境を整えたんですね。クオリアさんコメントをありがとうございました。

  moai さんにしても家族にはNOをいえませんか。頑固爺になるのは難しいですね。外国人はNOをいう環境作りがうまいんでしょうね。コメントをありがとうございます。

 東北人は、賊軍だったことと関係があるのではないのかとみているんです。意思表示がきちんとできないんですね。明治以前はそんなこともなかったような気がします。 michiko さんコメントをありがとうございます。
Commented by ようこ at 2009-10-12 21:03 x
最初にタイトル「断る力」だけを読んだ時は、今はやりの勝間和代さんのことかなと思いました。
「断る力」で、いろいろなテーマを取り上げることができますね。
michikoさんのご指摘「東北人はNOをはっきり言わない」は、私もまったくその通りだと思います。
若い時よりは、断れるようになった気がしていますが・・・。
Commented by watari41 at 2009-10-13 09:11 x
 勝間和代さんのことは、全く知らなかったのです。名前が記憶のどこかに残っていましたが、本屋でも手にとったことがありませんでした。ベストセラー作家なんですね。どうも私の知っていることには偏りがあります。これを書いてからしまったと思ったのです。ただし、河北新報で香山リカさんが痛烈に批判しており、読むまでもないかと、そのままにしてます。
 東北以外から嫁にこられた方は、NOをはっきりと言われないので困る。そういうことを聞きますね。そしてずるいというのですね。生活の知恵なのかもしれませんが、50台以下の若い方々になるとまた変わってきているようにも思っています。ようこさんコメントをありがとうございました
by watari41 | 2009-10-10 15:34 | Comments(6)