消費者は王様か

 6月末に農協の総代会があった。農家10軒に一人くらいの割合で総代が選ばれてその人達が集まるのだ。500名ほどが出席した。
 私は名ばかり農家の一人であるが、農協組合員なので順番が回ってくる。出席者にはもちろん専業農家もいるが大半はその専業農家に田畑をあずけている私と同様な人達だ。
 初めての出席だが、シャンシャン大会とは異なり、皆さん、大いに意見を述べている。

 わが町特産の「イチゴ」のことであるが、一パックは300gである。ところがさる消費者から、農協に297gしかなかったというクレームが来たそうなのだ。計測するほうも、する方だ。そこで農協は、これは大変なことだと一パックを310g以上とするようにとイチゴ農家を指導したのである。それに対する農家の意見だった。実質的に3%の値引きではないのかという意見である。農協執行部の考えは、規定重量に満たないものは表示義務違反であり、そういうことが報道機関に知れ、騒ぎになると、仙台イチゴというブランドを一挙に失墜してしまうことになるので、やむを得ない処置であるというのだ。そこまでやらなくはならないのかとうなってしまった。消費者は王様であるか。

 イチゴ農家の労働たるや大変なものだ。その節になると家族総出で早朝からの作業がある。個人でやってる方は針のついている台計りにピョンピョンと乗せていく、多少の誤りは出てきそうだ。大方の購入者はそんな事情はわからない。多少は目をつぶってもというところがあてもいいのではと思ったものである。

 総会では農協から分厚い冊子が渡される。決算の数字を見るとこの大不況下にあって、前年度とあまり変わらない数字が並んでいる。多少の業績低下はあるもののたいしたことではない。第一次産業の特徴的なことなのだろうか。

 世界経済の影響の見られたものが2つあり、穀物飼料価格の値上がりと、もう一つは農協金融の最上部団体である農林中金への出資金が3億円増加したことである。農林中金がその資金運用を他の金融機関などと同様に債券運用などに失敗したのであろう、金融機関の安全目安である自己資本比率が、危険水準を割り込んだので、それを補うためのようだ。全国の農協から集めるのだから莫大な金額となるのだろう。昔は個人がお金を借りるのに銀行は扉が固いので、農協が最後のよりどころだったことを回想しているが、今や金余りの時代、莫大なマネーが農家からも中央へ吸い込まれる一端を垣間見た。
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Commented by ito at 2009-07-04 13:38 x
 商品量目制度というのがあって、野菜や果実ならば3%が許容誤差として認められているんですが、表示よりわずかでも少ないと苦情が来るんですよね。
 実家では30年以上前から生しいたけを出荷していましたが、最初は100gをネット詰めで乾燥して軽くなるので10g増しで入れていましたがそれでも苦情が出るとの事で、途中から発泡トレーにポリエチレンフィルム包装に変わりました。今はコストに見合わなくなりやめてしまいました。
Commented by watari41 at 2009-07-04 17:26 x
 厳しい消費者が多いんですよね。商品になるということは大変なことなんですね。農産物は特にそうですね。時間が命なんですね。
 おそらくは、いろんなところでそういうことがあるんでしょうね。そんな苦労はなかなか伝わらないですね。ito さん、コメントをいただきありがとうございます。
Commented by クオリア at 2009-07-05 09:37 x
数グラム違っていても文句を言う人はどんな感性の持ち主なのでしょうか
給食代金もあっても払わない人が多い世の中 子供の非行は学校教師の責任と食いつく親、 その親が子をころしたり子が親をころす、子供同士の殺人事件も毎日のごとく報道されている。原因は誤った民主主義がこのような社会をつくりだしてしまった。生産者も消費者も同じ人、感謝の気持をお互いに持てばこのようなことはない心穏やかに短い人生を過ごせないものでしょうかね
Commented by watari41 at 2009-07-05 10:22 x
 PTAなどにモンスターペアレンツというのがいて、何かにとなく文句をつける親がいるそうですが、モンスター消費者というのも存在するようですね。
 中庸の精神というのがありますが、昔の人はいいことを言ったものです。権利をメッタヤタラと振り回す人が多いですね。クオリアさん、コメントをいただきありがとうございます。
Commented by moai at 2009-07-05 11:10 x
現役で30代のころ、厚鋼鈑の製造に従事していたころをこの話で思い出しました。鋼鈑にはたとえばJISで3mmの場合±200ミクロンとかの公差があるんですが、ある客先はこれを利用して3mmで買って3.2mmで売っていたり、造船会社の場合は公差内ならできるだけ薄いほうが喫水線が下がってボーナスがもらえる。などなどさまざまでした。商品を出すということは簡単ではないなと学んだものでした。
それにしても日本の野菜類の売り方は異常に厳格ですね、ピーマンの出荷にあたって専用の袋詰め機械が開発され、コンピュータで数百の組み合わせを瞬時に計算しすべてぴたりと100gの袋詰めにするのだという話を聞いたことがあります。ずいぶん昔の話ですが。
Commented by watari41 at 2009-07-05 17:30 x
 コスカライというか、商売の世界は尋常一様でないところがありますね。ものづくりとはまた別の厳しさがあるんですね。厚板鉄板の面白いお話をありがとうございました。
 交差内での様々なことは、薄板の世界にもありました。下限を下回るとスクラップにするしかない場合は、上限を狙うんですね。どうしても中高があるんで、わずかに外れることがあったりしたもんです。
 野菜の世界はどんどん厳しくなりますね。まっすぐなキュウリは、自動調理器にかけるためとか、工業製品並みに近づいてきてますね。moaiさんコメントをありがとうございます。
Commented by schmidt at 2009-07-06 11:55 x
>前年度とあまり変わらない数字が並んでいる。多少の業績低下はある>もののたいしたことではない。第一次産業の特徴的なことなのだろう
>か。

 決算の内容は、すぐにはうかがいしれないことも多いようですが、興味深いことです。その背景に農家個々の努力もあるんだと思います。
Commented by watari41 at 2009-07-07 08:39 x
 苦労の跡が種々伺えます。採算上、以前より問題とされていた、ガソリンスタンド、葬祭事業、直売所などを別会社に分離して、各々で努力して採算を取ってもらおうと、数年前に分離して黒字にしているなどのことがあります。schmidt さんコメントをありがとうございます。
by watari41 | 2009-07-04 10:05 | Comments(8)