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余日録


by watari41

企業買収

 巨大製鉄会社、新日鉄が買収の危機にある。夢想だにしなかったことが現実に起きている。先日のNHKドキュメンタリーを見て衝撃を受けた。ミタルというインド人が、世界の鉄鋼業界に覇を唱えている。一介のスクラップ屋さんに過ぎなかった男である。これが市場経済の行き着く姿なのかと思って見ていた。
 自由主義諸国には独占禁止法があって、やたらに市場占有率を上げることはできない。しかし国際間にはそういうルールはないようだ。買収だろうと何だろうと好き勝手なことができてしまう。

 在職の頃、会社が生き残るには、技術力を高め特色ある企業にしなければいけいない。そのためには全社をあげて研究開発に邁進しなければ、などと言われたことを回想する。だが今や、技術力の高い会社ほど魅力的で買収対象として狙われてしまうのだから皮肉なものだ。鉄鋼会社の買収などというのは最もやりにくいものだと考えていたので尚更に驚いた。その業界の一端に身を置いたものとしては唖然とするより他はない。

 その主役であるミタルさんは、あのホリエモンとどこがちがうのだろうかと思ってしまう。自社の株価を高めて、その価値をバックにして狙った会社を買うのだから基本的な差異はない。ミタルさんのやり方は国際的には許されているのである。

 世界の鉄鋼市場を統一してしまえば、最も効率的な生産配備ができるという理屈のようだが、一時的に成功はしても、かつて市場を独占してうまくいった例はない。

 新日鉄は買収防止に、あらゆる手立てを講じて立ち向かっている。かつてなら通産省が乗り出して、弱い日本企業の保護育成に当たるというようなことをやったのだろうが時代がすっかり変ってしまった。
 今や世界最強クラスになった企業が狙われるのだから恐ろしいことだ。経済というか金融面での国境はなくなりつつあるのだろう。一足先にEUがそれを実現している。宇宙からみると地球は一つというが、地上での闘争は果てし無く続いている。その様は時代毎に変った顔をみせ、今や経済・金融界のマンモスが跳梁する世の中だといってよいのであろう。21世紀初頭がこんなことになっていようとは、誰も考えなかったにちがいない。
Commented by クオリア at 2007-05-17 11:24 x
国境は無くなるのは時間の問題になってきましたね。日本の会社=外資系会社 どんなことになるのでしょうか?
Commented by michiko at 2007-05-17 15:39 x
経済もスポーツも芸術も人々の交流も国境を越えた時代になっているのですね。
私たちの意識が時代の変化スピードについて行けなくなっているのを感じます。
Commented by imaizumi at 2007-05-18 07:34 x
 独占企業が市場を独占する弊害は常識でも判断出来ますが、文芸春秋6月号の「赤い外資が続々と日本上場、日本乗っ取り・中国企業リスト」多少オーバーなタイトルだが、今や中国の企業が日本の企業を虎視眈々と狙っていることは明らか。
彼らの買収は純粋の経済活動だけではなく中国共産党の意向に沿った買収だから、さて実現するとどういうことになるのか。
 経済界にも同盟国家同士の集団的自衛権?が必要になって来るのではないだろうか。
Commented by watari41 at 2007-05-18 10:45 x
 政治的な国境はなくなりませんが、経済その他の交流拡大は、そんな国境をも無意味にしかねない勢いですね。クオリアさん、michiko さんコメントをありがとうございます。

  imaizumi さん、文春をまだ読んではみてませんが、かつてバブルの頃に日本企業がニューヨークのビルなどを買い捲ったことを連想してます。長続きはしませんでしたね。コメントをいただきありがとうございます。
by watari41 | 2007-05-17 08:03 | Comments(4)