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余日録


by watari41

小泉さんの退場

 この5年間何かにつけて日本を引っ掻き回した小泉首相が舞台を下りる。いままでの首相とは大きく異なるイメージを残した。
 小泉さんは「我」を通した。このあたりの方言を用いると「言ったハリを通した」男といえる。功罪は別として本望であっただろう。

 従来の首相は近隣諸国とか自民党内の意向などを気にしながら行動していたが、小泉さんはそれらをほとんど無視していた。計算づくでそうしたのだという方々もいるが、本当のところはどうだったのだろうか。

 これまでの30年は田中角栄元首相の政治手法が幅をきかせてきた。金の力で議員の数を増やして権力をにぎるというやりかたである。さすがにこの手法はきらわれていた。「自民党をぶっ壊す」という言葉に国民的な支持が集まった。次の首相も国民的人気で決まるようだ。

 金権体質という日本の政治は、欧米より百年以上も遅れているといわれており、容易に改善されないだろうと思われていたが案外にあっさりと良くなるような気がする。これは大変な功であろう。すでに末端の政治である町会議員レベルでは金をかけない、かからない選挙がこの田舎でも当たり前になりつつある、一挙に国政レベルでも実現しそうだ。

 他方では、靖国参拝に象徴されるナショナリズムに火をつけてしまったことがある。戦後ずっと封印されてきた事柄である。右翼的思想を勢いづかせたといえる。これまでの日本は思想的には、右や左と大きく振れていた。その時に置かれた日本の立場が大きく影響していたのである。確固たる信念を持った人は別として、我々凡人は時の状況に順応してしまう。
 小泉さん個人の考えでの行動もあったのだろうが、首相としての言動なので今後に大きな影響を及ぼすであろう。

 一国の首相の退陣であるから、その功罪は今後多方面から論評されるであろうが、市囲の一個人の皮相的感慨だが、大きな歴史の変わり目を見ているような気がしている。
Commented by michiko at 2006-09-16 20:04 x
その時の総理や政治は年月がたって歴史として振り返ったときに評価が違ってくるのかもしれません。小泉首相もどのように思い起こされるのでしょうか?
Commented by カメチャン at 2006-09-16 21:08 x
政策の良否はなかなか素人にはわかりにくい。マスコミは時の政治権力を批判することが仕事なので彼らの意見を鵜呑みにしてはいけない。しかし、小泉さんは従来の調整型の政治手法から脱却を図ろうとすることを始めたことは大いに評価されるべきであろう。ワンフレーズポリティツクスもよかったと思う。マスコミをうまく使って庶民に分り易く語りかける手法はこれからの政治家には不可欠な手法であろう。近隣諸国の外交関係が閉塞状態になったのは評価できないが、トータルで言えば及第点の首相ではなかったでしょうか。でも権力は時々交替しなければ世の中の水は淀んでしまう。
Commented by watari41 at 2006-09-18 08:56
 古来、権力者は怨霊を鎮めるのが主な仕事であると聞いたことがあります。そうすると小泉さんは、無意識だったのかもしれませんが、現代の怨霊ともいうべき数百万人の戦死者の霊を鎮めるために参拝したということになるのでしょうか。いろんな解釈をする人がいて面白いのですが、時代が要求した首相だったのか、何ともわからないところです。
michiko さん、カメチャン、コメントをありがとうございます。
by watari41 | 2006-09-16 10:19 | Comments(3)