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余日録


by watari41

発想の転換

 在職時に何回となく聞いたのが「現状を打破するには思いきった”発想の転換をして”・・・・」という言葉である。だが、言うは易く行なうは難しである。発想を転換するとは、現状を否定するのみならず、過去をも消し去ってしまいかねないからだ。

 外部からの圧力が、強引に「発想を転換」させてしまう場合がある。最も極端な例が終戦の時であったろう。これまでの価値観が180度転換してしまったのである。生きていくためには新たな発想をぜざるをえなくなったのだ。過去の全てが悪かったようなことになってしまった。

 平時における「発想の転換」は難しい。物事が比較的順調にいっている場合にはなおさらだ。多少状況が悪くなったからとて、まったく新たな発想にたどりつくのは困難である。

 人間誰しも追い詰められると、個人レベルでは発想も変ってくるが、大組織での「発想の転換」は極めて難しい。ダメだとわかっていながらもズルズルと破局に至ってしまうことが多いようだ。

 先日の大晦日に紅白の裏でNHKが「ゼロ戦の悲劇」という番組をやっていた。開戦当初には名機といわれた戦闘機が、後半に無残な姿をさらすことになったのは海軍という組織が発想法を変えることができなかった為であると有名な柳田邦男さんがレポーターとして解説していた。

 会社もそんなもので、最後には倒産に至ることが数多くある。「発想の転換」がやりにくい最たる例がお役所なのだと思う。
 最近「県庁の星」という新刊本に人気がある。出向先の民間会社を経験する公務員の悲喜劇が描かれていている。役所と民間では発想方法が全くことなり異質な経験をするところが面白いのだ。置かれた立場が一転しないと考え方を変えることはできない。同一組織の中にいては、「発想の転換」は難しいのである。
Commented by schmidt at 2006-01-07 12:48 x
 組織として「発想の転換」あるいは状況に対して的確に対応でできないパターンには2つあるような気がします。トップが力量に乏しい場合と、トップが笛吹いても下が踊らない場合です。いずれにしてもケース・バイ・ケースなので、詳細な分析とカルテの作成なしには解決できませんね。
Commented by カメチャン at 2006-01-07 13:49 x
発想の転換が一番下手なのは役人であろう。経営感覚を有す必要がなく、大半の判断は前例主義でことがすむ。倒産の恐れがないので、現在自分たちが置かれている状態が”ゆで蛙”であることも、意識する必要が無い。本来、彼らの評価は住民がすべきであるが、彼らの目は上司の方しか向いていない。生意気なことを言っているがその立場になったら私も同じ様になることは間違いない。私は横浜市長の中田宏さんを応援しています。中田さんは企業家の精神を市制に反映させ、発想の転換が図られた素晴らしい行政を実現されています。参考までに。
Commented by watari41 at 2006-01-07 18:53
 前例に従うということがなくならない限り、カメチャンの言うように発想の転換ということはありえないのでしょうね。横浜市長の中田宏さんは民間感覚でやっているようですね。全国的に広がればよいのですが、どうなるでしょうか。
  schmidt さんが言われることの他に、トップがわけもわからずに発想の転換をしろとお題目を唱えている場合もあるのです。それで何かが良くなるかもしれないという期待をしていることもあるのですが、そんなことで組織が変るなら苦労はないのですが、こんな例もなきにしもあらずなのです。
by watari41 | 2006-01-07 08:04 | Comments(3)