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余日録


by watari41

イスラエル独立70年(2)

 世界で最も古い民族の一つ、ユダヤ人の国イスラエルが、建国わずか70年にしかならないというのも不思議な話である。
 1948年(昭和23年)にイスラエルに入植した100万人ほどの人が独立宣言した。この背景にはイギリスの2枚舌外交ともいうべきおかしなことが原因だった。
 第一次、第二次世界大戦でドイツと戦ったイギリスはかつての世界覇権国では無くなっていた。力の弱っていたイギリスは助けを必要としていた。軍資金が足りなかった。そこで世界中のユダヤ人に約束した。遠祖の地であるパレスチナにあなたがたの国を作ってあげましょうと言明したのである。特にアメリカのユダヤ人から多くの資金を集めた。
 その一方で、植民地下にあった中東のパレスチナ人にも同様の独立約束をしていた。
 戦後に出来た国際連合総会にイギリスが、イスラエルやパレスチナを同時に、それぞれ小さく独立させる提案をしたが否決された。それにごうを煮やしたイスラエルのベングリオン初代首相は独立宣言をした。怒ったパレスチナ人は、イスラエルへ戦争を仕掛けた、圧倒的にパレスチナ側が有利だった。ユダヤ人は再び流浪の民となるかに思われたのだ。周辺諸国であるヨルダン、シリア、エジプトなどアラブ諸国を全て敵に回したからである。
 しかし、ユダヤ人は必死で戦った。ここで負けては2千年来の努力が無駄になるという思いがあったのだろう。奇跡的に勝利したのである。これが第一次中東戦争と呼ばれるものだった。
 その後、数次にわたり戦争が起きているが、イスラエルの軍事力は急速に高まり、もはや周辺諸国の及ぶところではなくなった。

 日本は戦後70年間の平和を享受できたが、イスラエルは戦いに次ぐ戦いを勝ち抜いてきた。おびただしい戦死者を出しながら2千年来の悲願を実現してきたのである。
 一つの民族がこのようにして千年単位での長期間生きながらえてきたのは、人類の奇跡なのかもしれない。その間には世界各地で各種の摩擦を起こしてきたのも事実であり、ヒットラーはユダヤ人種の撲滅まで考え6百万人もを虐殺した。悲劇の民族でもある。
 だが今や強大化したイスラエルは、イラン、イラク、サウジアラビアなど中東アラブ圏全域を敵に回している。
 宗教上の対立は簡単には解決しないというか、永遠に解決不可能なのかもしれない。
 第三次世界大戦が起きるとすれば中東が発火点になると言われる所以でもある。

 ユダヤ人に協力をもらわないといけないのは、強大なアメリカとてそうなのだ。アメリカの富の大半をユダヤ人が占めるとさえいわれる。トランプさんとて、イスラエル大使館を移動するとか世界中の反発を受けながらもユダヤ人に媚を売ろうとしている。

by watari41 | 2018-10-21 15:39 | Comments(0)