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余日録


by watari41

一太郎と特許

 優れた日本語ソフトである「一太郎」も「ワード」に押されて往時の勢いはなくなった。その「一太郎」に特許問題があったのだ。松下電器が販売差し止めを求めて訴えたのである。松下の発明したものがソフトの一部に使用されているということで、一審は松下勝訴となったが高裁では逆転したのある。松下発明と同内容のことを記した英文刊行物の存在がわかり松下特許を使用したとはいえないということなのだ。「一太郎」側は必死で文献調査をしてみつけたのだと思う。

 私も40年前になるが勤務していた会社で似たようなことを経験した。ある製品に特殊なテクニックを使用して、これまでの性能を大幅に向上してユーザーにも大変に喜ばれたことがあった。その技術は磁気を扱うものから見ると一般的なものだと思っていたのである。ところが、ある会社から自分の特許が使われているとクレームがついたのである。当社はもちろんのこと、ユーザーでも困ってしまったのである。

 幸いなことに大会社のユーザーがあった。そこが調査能力を生かして、日本の特許よりも古い英文の同内容の米国特許をみつけたのである。
 この商品は幸いなことに、日本より10年も前に米国で商品化されており、同じような技術開発がなされていたのであった。
 洋の東西を問わず、同時代の人は同じようなことを考えているのだということがよくわかったのである。

 かつてのソ連も、宇宙開発華やかなりし頃の先端技術開発はすごいものがあった。米国をも凌ぐものがあった。もちろん当時は公開されていなかったが、ロシアになってから解禁された。我々が関係した特殊金属技術にもすばらしいものがあった。こういう文献でも先例があるのだということで、特許の対抗手段になったことがあったのである。
by watari41 | 2005-10-01 10:40 | Comments(0)