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余日録


by watari41

石の医師

 世の中には珍しい人がたくさんいるが、これほどまでに不思議な方にはお目にかかったことがない。
 「石の医師」とはダジャレみたいだが、「自然界の石」が病んでいるのか、健康なのかをわかるというのである。病んでいれば、それを治してあげられるというのだから驚くしかない。
 目撃した方によると、病んだ石に手を触れることで、色がわずかに変ったというのである。
 大事な「石」のメンテナンスも引き受けているそうだ。

 仙台にお住まいの女性である。彼女の出生からの経歴が興味深い。ベトナム戦争でサイゴン陥落の直前に生まれたというのである。その両親と幼児は間一髪で国外に出たというのである。
 父親は日本人でJICAの職員として駐在していた、母親がベトナム王族の血を引く末裔だというのである。大正の末に生まれた父と、ベトナム人の母親はすでに死亡している。
 私は彼女にお目にかかった時に一つだけ質問してみた。隕石でもその状態がわかるのですかと問うたら、「地球外」のものについてはわからないのですと答えていた。

 鉱物である「石」に生命があるとは考えられない。これは精霊の世界である。
 最初からまともに取り合わない人が殆どであろう。しかし小生は未だ何事にも興味を抱いている。アニミズムがよく知られている。万物に霊魂ありと考える未開のジャングルで原住民やシャーマンを調査研究した英国の人類学者がいた。
 「原始文化」にそれが見られるというのである。
 日本の八百万の神々も、昔から自然現象そのものを崇めていた。似たようなものである。
 石をご神体とする神様だって存在するのだと思う。
 
 現代人は余計な知恵がついてしまった。率直に信じる心が無くなってしまったらしい。
 非科学的だと言われようとも、現代社会にきちんと存在している。

 かつて、梅原猛さんは日本人には縄文の気風が今も存在すると言って物議をかもしたことがあったように記憶している。「梅原日本学」ともいうべき独特の存在感を示す人でもあるが、今回の石の話で去来した。

by watari41 | 2016-03-27 13:46 | Comments(0)