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余日録


by watari41

過去から未来へ(4)

<伊達市歴史広場より、中央に有珠山、右にかすかに昭和新山を望む>
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 伊達市はその歴史だけではなく、現在の基盤を固めながら、未来を見つめた施策を着実に実施しつつある。さすがに開拓者達の末裔だ。農業でスタートした町なので見るべき産業はないが、人口は減少していない。住みやすい街なのであろう。「北の湘南」をうたっているが気候だけではないようだ。街並みがきれいである。地価も上昇しているのだという。街作りのいろんな努力がなされている。

 今後は大都市から流出するであろう定年後の団塊世代の長期、短期の滞在を狙っているということだ。人材誘致という考え方が面白い。

 六十台半ばに達する我々の世代でも、裕福な人たちは東南アジアの国々でロングステイすることが流行っている。この試みはうまくいくのかもしれない。宮尾登美子さんもこの滞在者の一人だ。この地で多くの傑作を生み出している。

 さらに驚いたことには、住宅地を網羅する光ファイバーを設置したというのである。時間がなくてそれらを見学できなかったがインターネット時代の重要なインフラであり小規模都市で、いち早くこのようなことをやるのはすごいことだ。わが町では周辺地域にようやくADSLが入ったばかりだ。

 これらに加え、市には「噴火湾文化研究所」というユニークな機構がある。文化財の研究・保存とともにそれらを街づくりに生かす提案型の研究所である。その所長は医学博士の称号を持つ方だ。
 名刺の裏には「伊達市で学会を開きませんか」とある。これまでの常識では学会は東京や地方でも大都市でやるものと決まっていたようなものだ。これを誘致するのは街づくりへの大きなインパクトになる。学会が開催されれば運営は市民がサポートしますとも書き込まれている。

 研究所長曰く「文化財は現在に生かしてこそ価値がある」という。文部科学省が定めるようなマニュアルに従った保護方式ではいけないのだと、中央が決めたやりかたに果敢に挑戦し、文化財保護の改革を企てているすごい方だ。

 私もこの話を聞いて、どこに行っても見られる、あの決まった寸法の角材に白いペンキが塗られ黒い文字が書かれた遺跡の標識がそのマニュアルの一例だと知ったものである。これだけでは古跡の存在を知るだけでそれ以上もものではない。次回ではさらに遺跡の意味を考えてみたい。
by watari41 | 2005-09-11 17:18 | Comments(0)