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余日録


by watari41

イルカとクジラ

 海洋生物に関する考え方が、これほどまでに西欧と異なることを再認識させられたのが今回のイルカの追い込み漁の禁止に関することである。
 日本人は海の恵みを存分に享受してきた。川のものでも海のものでも何でも食べる。特に鯨からの恩恵は大きかった。
 海洋国家ゆえんのところである。
 対するに大陸国家では、陸上の生き物が重要である。数万年前の洞窟に描かれた生き生きとした動物がある。フランスなどでの壁画発見が相次でいる。感謝のしるしとして野牛を描いたものなのであろう。
 追い込み漁が残酷だと言うのならば、牛・豚の撲殺はもっともっと残虐である。しかし昔からそのように野牛などに接して来た歴史を見れば、当然のこととして殺して食べる事を厭わないはずだ。
 日本にはそのような習慣がなかった。馬と同居したり、牛なども人間の同伴者であった。労働力として可愛がった。
 その名残は現在にもある。肥育農家と言われる方々は実に丁寧に牛を扱っているのである。いずれ殺される運命にあるのだが、それまでを大事に育てている。
 先日、町内会で氏神様の祭典用の太鼓を修理した。お店の人は、これは和牛の革なんですとおっしゃる。米国の牛皮では使い物になりませんと。放し飼いなので、至る所アブカに刺されていて、傷だらけの革しかとれないのですと言う。なるほどと感心しながら聞いていた。
 そういえば、鯨には捨てるところが一つもないのですと小学校の頃に教えられた記憶がある。そのヒゲが和製の弦楽器の何であったかは忘れたが、無くてはならないもので、在庫があとわずかしか残ってないのですと報道されたことがあった。
 刀の柄も滑りにくいようにと、ザラザラの鮫の皮を使用していると思った。
 極端に言うと、海の生物に対するというか動物への接し方のDNAが根本的に違うということなのであろう。

by watari41 | 2015-05-23 20:56 | Comments(0)