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余日録


by watari41

蓄えられない

 お金を蓄えるのが得意だという人はいらくでもいるだろう。
 しかし、電気を蓄えるほど難しいことは他にない。

 発明王と言われ自動織機を作った豊田佐吉さんは、1925年に高性能の蓄電器を発明した人に現在の金額で100億円を提供するとの懸賞をだしたが、未だその課題は残ったままなのである。現在の開発スピードから行くと、早くとも2030年頃のようだ。

 電気、そのものを蓄えるのではなくて、一度他のものに置き換えてから再度電気に変換するという方式が手っ取り早いということになる。

 その理屈で出来たのが、水素自動車だと考えればよい。佐吉さんから見ると現在は曾孫の時代である。本人の夢を子孫が開発したということになる。

 電気自動車でよいのではないかと思われそうだが、その電気を造るのに石油などの資源が必要となるのは言うまでもない。
 そこで、自然エネルギーから発生させた電気を一度水素に置き換えておくのである。後は好きな時に自由に使える。自動車を走らせてもよいし、発電に使用してもよい。

 折角、開発した膨大な特許を公開したのは一足先に佐吉さんの夢に答える意味もあったのだろう。本物の蓄電器は東大との共同研究で新たな原理のリチューム電池を進めているようだが、上手くゆくかどうかはわからない。そんなこともトヨタが大企業病に罹らない秘訣なのかもしれない。

 特許の公開というのを、現職の当時にまじかで見たことがある。セイコーのクオーツという一秒ごとに刻むもので、正確なことこの上ない。その心臓部にごくわずかな量だが、自分の扱っていた金属材料が使われていた。
 セイコーの方は、この特許は広く公開することにしましたというのに驚いたことを回想している。その後、この方式の時計は広く世界に普及して、今や百円ショップでキチンと動くものを手にすることができる。
 水素自動車もやがては、このようになるのかもしれない。

Commented by ようこ at 2015-01-15 19:54 x
セイコークオーツの一部にwatariさんの金属が使われてるのですか、技術者冥利につきますね。
水素で動く車、電気自動車よりいろいろな面で使いやすそうですが、水素で動く自動車が町を走る前に、電気自動車が一般的な車になるのでしょうかね。
重油が安くなってきたので、当分ガソリン車は消えないでしょうか?
何時運転やめるか、秒読みに入りましたが、自動運転してくれる車が安くなればいいのですが。
Commented by watari41 at 2015-01-16 13:51
私が偶然にも係っていた金属ということで、それは1940年頃から存在する材料なのです。
中心部には、針のような磁石があって、それが一秒毎に動きます。その磁石が通る細い穴をあけた材料から制御磁界を発するのです。時間の正確さは水晶の固有振動数(発振周波数)から決まるもので、アナログ時計です。
セイコーが特許を独占していたら、今頃はデジタル時計の時代だったかもしれません。
自動車の将来は誰にもわかりませんが、トヨタには情熱がありますね。ようこさんコメントをありがとうございます。
by watari41 | 2015-01-14 21:47 | Comments(2)