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余日録


by watari41

ニセ金造り

 昔から、ニセ金造りは割に合わないことだとされていた。労多くして益なしだったのだ。だが昨今の偽造一万円札に続く、大量の500円硬貨の贋物発見は、採算ベース?にも乗るかのごとき金額である。

 私は硬貨の「金属」に興味を引かれてしまうのだが、ニッケル、銅、亜鉛の成分が本物とはいくらか異なるようだ。ATMをすり抜ければOKということなのだろう。

 表面の文字にも若干の違いがある。発行年号を表す平成の「平」という文字が本物と比べると明らかに異なる。
 中国に偽造の本拠地があるともいわれるが、何となくわかる気がする。こんな文字はきちんと合わせればよいのだろうが作者?のクセがでたのだろうか。贋物としては雑な感じがするがその目的を達成しているのである。普通の感覚で眺めていては見破ることは難しいようだ。

 千年も昔のことだが、平清盛の時代に中国との交易が盛んになり、当時の中国硬貨である宋銭を大量に輸入して日本でも通貨として流通させたといわれる。当時の日本にはまだ通貨を量産する技術はなかったのだ。おそらくは日本の国内ではその贋物を作ろうと努力していた人たちがいたのではなかろうかと想像する。

 飛鳥・奈良時代から日本にも富本銭や和同開珎などの硬貨があるが、広く流通するには至らなかったようだ。銅の産出が少ない上に、鋳造技術も難しかったようだ。個人で上手に硬貨を作った人には、私銭としてそれもお金と認めましょうなどということもあったらしい。
 それからみると当時の中国の硬銭製造技術や量産技術は格段に上だったようだ。

 千年の時を過ぎて中国は今、日本の模造硬貨を作ろうとし、その質の悪い偽物を日本のイカサマ師たちが輸入しているのであるから歴史を振り返ると面白いことではある。
by watari41 | 2005-02-07 10:52 | Comments(0)