「蜜蜂と遠雷」

 「直木賞」と「本屋大賞」を同時に受賞することになった極めて珍しい小説が「恩田睦」作、「蜜蜂と遠雷」である。
 50万部が売れたそうだ。日本人の200人に一人が買ったことになる。
 
 「直木賞」は小説のプロが選んだものである。これぞ小説であるというものだ。過去には難解なものも結構多かった。
 「本屋大賞」は素人が選ぶ、お客さんに勧めたい、読んで面白いものである。隠れた名品を選ぶ目的もあったようだ。しかし、本屋大賞の方が断然売れ行きも良くて権威あるが如きものになってきている。この賞をいただくのに、全国の本屋さんに猛烈にアタックしたという噂の本もあった。その本は運動をした効果もあったのだろうが目的通りに賞を得た。題名につられ読んでみたが、ビジネス関連の内容なのでそれなりに面白かった。

 今回の如く両賞を同時受賞というのは小説に関しては、専門家と素人の距離が急速に近づいてきているのかとも思う。
 現代は書籍で溢れかえっている。
 小生なども、限られた時間しかないので何を読んだらよいのかわからない。自分が興味のある分野の他に「賞」をいただいたものというのも読む基準になる。全国の皆さんも似たようなものではなかろうか。

 今回のダブル受賞作「蜜蜂と遠雷」は直木賞の時点で購入した。内容が実にすばらしいのである。全編から音楽があふれ出している本だともいえる。正直にいうと私は音楽のわからない男である。カラオケで歌うと音程がはずれているのがわかる、いわば音痴に近い。しかし耳ではなく目から入る音楽は理解ができる。
 「直木賞」が先に決まっているので、当然ながら本屋さんの人達も読んでいるはずだ。普通なら違う作品を選ぶようだが、それらを乗り越えて選択された。
 素人から専門家にまで激賞されたということになる。ピアノ音楽を表す驚くべき表現がいくつも出て来る。「胸の奥底の小さなポケットが共鳴する」(記憶が不確かです)とか。
 究極の音楽を文章で表す、文字を音符とする音楽ではなくて文学なのである。

 

[PR]
by watari41 | 2017-04-17 17:21 | Comments(0)