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余日録


by watari41

(続々)戦後71年

 アメリカのバイデン副大統領が「日本国憲法は我々が書いた」というような発言をした。
 トランプさんへの批判演説中に出た言葉であるが問題化した。
 だが今や、そんなことは言われなくても日本人なら誰でも承知している。

 当時のマッカーサーも、日本が独立したら直ぐにでも改定するだろうと考えていたのである。まさかこんな長期間に渡り持ちこたえるなんて、それこそ想定外のことであったろう。

 その原点は、マッカーサーの日本教育改革にあったと考えている。予期せざる効果を得てしまったのである。時の首相、吉田茂さんさえもすっかりマッカーサー信奉者となってしまっていたので、昭和26年の平和条約締結時も、そんな考えは全くなかったにちがいない。

 その後に憲法改正を阻止し続けた政治勢力は、日本社会党等で常に三分の一以上の議席を確保していた。戦後に教育を受けた世代が有権者になっていた。

 そのような政治状況のなかで、日本はあたかも未だアメリカの占領下にあるかの如き状態が続いて現在に至ったことも確かである。そんなこんなのうちに自民党などもいつのまにか4分の3を超えた。
 しからば、新しい憲法を持てるかということになるが、事はそう簡単にはいかない。
 戦後の長い期間の間に、アメリカの世界戦略の一環としてすっかり組み込まれてしまっているので、ジタバタしたところで何ともならないからである。同様な境遇の韓国大統領が中国に擦り寄ってみたが、どうなるものではないことがわかった。

 日本人の戦争に対する考え方は極端にちがう。実際に第一線で戦った人、目の前で戦友を亡くした人、家族を亡くした人、空襲を経験した人など悲惨な目にあった人は当然ながら2度と戦争をしてはならないという信念を抱いている。
 これに対して、政治家や軍の幹部などは必ずしもそうではない。日本を再度強国にしたい。中曽根元首相などは典型的な人だった。戦後日本への考え方が、かくも異なるのである。
 敗戦の責任を感じて、隠棲し清貧に終生したのは宮城県出身の井上成実海軍大将のみであるとされる。その一方で戦後に栄華を極めた軍人も数多い。

 検討中とされる新憲法案が国民投票で可となることは「バイデンさん」の発言などがあっても当分の間はないであろう。

by watari41 | 2016-08-30 15:18 | Comments(0)