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余日録


by watari41

ミクロとマクロ

 灯油の価格がどんどん下がっている。我々にとっては想わぬ僥倖である。昨年の半値に近い。ガソリンも下がり、恩恵を受けている日本人は何千万人もいるはずだ。

 しかし、日本経済なかんずく世界経済にとっては、きわめてまずいことだとされる。
 個人の利益と国家なり企業の利益とが、相反しているのが現在の状況なのである。かつては全体(マクロ)がよくなれば個人(ミクロ)も良くなるものとされてきた。高度経済成長時代にはそんなことが、実現できていたような気がしている。
 そんなことが現在でも通用するという前提で、アベノミクスも策定されているようだ。全体をまず良くしましょう。そうすれば個人にも恩恵が回ってくるはずですと。
 だが、現実の社会情勢を分析すれば、石油の例を持ち出すまでもなく、かつての時代とは大きく様変わりをしてしまったのである。
 そんなことを筆者などが言うまでも無く、政府首脳をはじめ誰だってわかっていたはずなのだが、どうして現在の混乱ともいうべき状況を止められないのだろう。

 我々は物価が下がる事は、すべからく良いことだと思っている。それはミクロ的な考えでしかないと言われているのだ。マクロ経済的には、物価上昇率が2%でないとダメとされる。そうでないと日本経済が成り立たないとされる。

 どの辺りから、ミクロとマクロが合致しないようになったのだろうか。おそらくはバブル時代が分岐点だったのだろう。それまでは誰もが将来への希望を持っていた。だが、これは極めて稀な時期だったのかもしれない。

 人類の歴史をみれば、ミクロとマクロの合致などは有り得なかったと言えるのだろう。
 戦前は特にそんな時代だった。国威発揚が優先された、その国民がそんなに貧しいとはと驚かれたらしい。現代の北朝鮮如きである。
 今も国民の5%程度の人に富が集中しているとされる。いつの時代、どんな体制でもそんなパーセンテージだったのだと思う。見果てぬ夢をみながら、高度成長という今になると良き時代を懐かしんでいるのである。

 

by watari41 | 2016-02-18 18:42 | Comments(0)