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余日録


by watari41

奉仕の精神

 ボランティアをしている同級生が嘆いていた。
 老人所帯から庭の草取りを依頼されて行ったところ、その家にいる居候であろう中年の男はクーラーの効いた室から出ようとはしないというのである。好きでやっているんでしょうと言われたという。「感謝の念」などさらさらないというのだ。
 だが、ボランティストとしてそんなことに腹を立てているようではまだまだ修養が足りないということらしいのだが考えさせられる話ではある。

 無償の行為である「奉仕」という概念は、わが国では明治以降になってからのものだろうと思う。キリスト教の影響なのだろう。赤十字の精神である「博愛」などもその範疇のものであろう。

 日本でも昔から「喜捨」とか「布施」などという言葉があり、貧しい人たちへの無償援助が行われていたようだ。
 ただ、これは仏教というかお寺に関するもののようで、昔は大半の寺院は貧しくて一般からの施しで生活していたようなのだ。いまや立場は逆転して裕福なお寺に貧乏人が「お布施」を包まなくてはならない時代になった。仏さんへの功徳だといわれるとやむを得ないところがある。

 「奉仕」の精神は日本になかなか根付いていないというので、文部科学省が中央教育審議会に依頼して「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」なる諮問をしその答申が出されている。
 昨今の社会問題、学校教育の問題は根本的に「奉仕」の精神に欠けたところにあり、その活動と体験こそが荒れた社会や学校を変革し豊かな社会をつくる源であるという認識である。大人も子供も「奉仕」を実線すべきだというのである。
 一理はあるのだが、一面的な捉え方のような気もするのである。全てがそれで解決するわけでもないだろう。何よりも冒頭の不遜な輩のことではないが、何事にも「感謝の念」が先決ではないのだろうかと思う。

 貧しいか金持ちかは別として人間同士の対等な精神的関係が前提となろう。与えるほうも与えられるほうも心からの「感謝の念」についての教育が欠けていたのではなかろうかと思う。
Commented by schmidt at 2005-08-29 14:31 x
 ボランティアは「奉仕」ではないと思うんです。相手(やその家族、親類、一族郎党)を奉り仕えるべき身分であるなら、くだんの「居候であろう中年の男」に何を言われても笑っていなければならないのかもしれません。

 しかし、どこまでいっても自立的なボランティアは、ボランティアを受ける側とも対等です。理不尽な事柄に耐える筋合いはありません。おかしいことはおかしいと感じ、意見を言うべきときは言うのでいいのじゃないでしょうか。
 もっともwatari41さんの同級生は気持ちの大きな優れたボランティアであるからこそ、建前論を軽々と超えたところでボランティアの実践行為をやられているのだと思います。
Commented by カメチャン at 2005-08-29 22:51 x
凡人が考えたら自分や近くの身内で出来ることをやった上で不可能なことを他の人に頼むのが筋である。居候が出てくれなかったのは、おそらくタイミングを失して出そびれのかも判らない。
おそらく子どもの時に親がそのような教育(この場合は草取り)を行なっていないのが大きな原因かも知れない。
奉仕の精神が無ければ感謝の念もわいてこないから、たとえ中途半端でも若いときから奉仕の訓練を行うことは良いことだと思う。
他の人の与えるなんて表現は不遜で、ボランティアは与えているつもりが実は与えられているのです。自己実現を図ることで他の人から喜びを頂いているのですね。でも凡人にはなかなかそのような心境にはなれませんがね。
どうすればボランティア活動が活性化するかなと、友達と話しました。”やっぱり楽しくなければ物事は続かないよね。ボランティアで楽しさを感じるってどうことだろうね”と。
Commented by watari41 at 2005-08-30 10:08 x
 広辞苑をみましたら、ボランティアに「奉仕」という意味も含まれているのですね。ただ漢字の意味からすると「奉り仕える」ですから、やはり少しおかしいですね。カタカナでのボランティアと、日本語でこれを表現することとでは微妙なニュアンスのズレがあるように、かねがね思っていました。
 シュミットさんのコメントで、またひとつ考えさせられました。

 ボランティアをやることで、「他の人から喜びを頂いている」というのは、すごい心構えですね。まさに自立的なボランティアですね。地元にもそんな同級生がいるもですが、いつも感心していることです。
 だけど、やはり楽しさも必要ですね。相手に心から喜んでもらえるというのが、自分も楽しいということなのでしょうね。とはいっても対等な立場でのボランティアというのも、なかなか難しそうですね。
 カメチャン、コメントをありがとうございます。
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by watari41 | 2005-08-29 08:42 | Comments(3)