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余日録


by watari41

観光

 知床半島が世界遺産になった。「観光資源」としての価値がぐんと高まるようだ。だが、考えてみると認定を受けたからといって景色が変わるものでもない。お墨付きをもらったことで、そこを見る人が世界遺産だという感慨をもってもらい、行ってみようとする人が増え、地域の人たちにはそこを守らねばならないとする意識の働くことが認定の狙いなのであろうと思う。

 先日、福島県の会津を旅した。そこで聞いた話では、これまでの観光は「白虎隊」に頼ってきたところがあったという。近隣諸県の小学生の修学旅行は、自刃の地である飯盛山ときまっていたものだが、最近は半減しているという。
 戊辰戦争での少年達の悲劇で百年間、飯を食わせてもらったという感謝の一方で、新たな観光資源が課題になっていたところに、野口英世の千円札でその生家が脚光を浴びた。周辺には世界ガラス館という大型施設もできた。かつての賑わいをもう一度ということなのであろう。

 今や観光は一大産業でもある。とにかく人を呼び込まなくてはならない。知床にもハクがついた。先年の熊野道もそうである。観光資源は、景色であったり、自然であったり、偉人に絡むもの、街並みなど様々だ。

 日本最大の観光地は「東京」なのだという。田舎にないもの全てがある。次々と観光スポットが登場してくる。
 日本人はよく動く。小学生の修学旅行から我々シニアの観光旅行までどこかに行かないと気のすまないところがある。
 だが「観光」という言葉に何となく後ろめたい気持ちが働くのも事実で、「研修旅行」という名前がよく使われる。農協の旅行、町内会の旅行などにも、何かとこの「研修」という文字が出てくる。
 無駄遣いだと問題視されている議員の「視察旅行」も観光旅行そのもののはずだ。そのうちに「世界遺産視察」などというのもでてくるのだろう。へたな言い訳をせずに堂々と「観光」であると宣言してもらえばすっきりする。
by watari41 | 2005-07-15 13:16 | Comments(0)