人気ブログランキング | 話題のタグを見る

余日録


by watari41

水素ガス

 クリーンなエネルギーとして「水素ガス」が注目を浴びている。燃やせば無害な水になってしまうからだ。今や地球環境破壊の悪玉になってしまった二酸化炭素がでてこない。

 私は40年以上も前のことだが入社の頃に水素ガスを扱った。高い温度で特殊な金属を熱処理するのに使っていた。
 水素ガスには、危ないとか、爆発するとかのイメージがあるがその性質をわかってしまうと、極めて安全なガスである。
 何よりも軽い。ガス漏れがあったところで、たちまち上へと逃げてしまい、隙間があれば出ていってしまう。そして空気中に拡散してしまうのだ。床に留まってしまう重いプロパンガスなどとはちがうのである。

 その水素ガスを自社で作っていた。水を電気で分解するのである。水素と同時に酸素も出てくる。むしろこの酸素ガスの方が危険なのである。私の入社前には、副産物だった酸素をボンベに詰めて販売していたようだが事故があって止めてしまったという。
 先日、仙台の学校で授業中に酸素を教室で爆発させてしまった先生がいたが、危険性への認識が足りなかったようだ。物の燃焼を助けるものの方がむしろ危ないのだ。
 自社で発生させた水素ガスを一時的に貯蔵する赤いペンキで塗られた大きなガスタンクをもっていた。工場の外からも見えていた。水素ガスを入れる容器は赤で表示する規則がある。
 そのうちに、苛性ソーダを作る時に出てくる副産物の水素ガスを安く買えるようになって、自社製造を止めてしまった。

 昔は工業的な特定の用途にしか使わなかった水素ガスも、燃料電池など一般の用途に供される時代が近いようだ。
by watari41 | 2005-07-01 07:59 | Comments(0)