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余日録


by watari41

難行苦行

 宇宙飛行士山崎直子さんのテレビ番組を見ていて、訓練の凄まじさに心底驚いてしまった。人間の限界を試されるようなもので、そこまでやるのかと思って見ていた。
 その訓練に、修行僧の難行苦行を思い出してしまった。千日回峰とか生死の限界に挑んでの、とてつもない修行を行う。その目的は「悟り」を得ることにあると言われる。「悟り」とは、どんな心境なのか我々凡人には知りようもないことである。言葉で表せないのは当然のことでもある。

 宇宙飛行士の訓練目的は、あくまで物理的なものである。宇宙船に乗り操縦して科学目的を達成して、無事に地球に戻り、任務を達成することにある。何百億円もの費用を投じて行うのであるから、失敗のなきように、十分すぎる訓練が行われるのは当然のことでもあると理解している。

 日本には、まだ10人程度の宇宙飛行士しかいない。厳しい選抜試験に合格して、極限の訓練に耐えて、宇宙を往復している。これらの人たちは何度もテレビに登場し、いろんなお話をしているが、いずれも爽やかな方々である。見方によっては、作られた類型的な人間像のようにも見えてくる。

 宇宙飛行士である「彼ら」「彼女ら」には、我々には知りえない或る種の「悟り」の心境に到達しているのではとさえ思ってしまうことがある。肉体的・精神的極限までの修行ならぬ訓練を積み重ねてきたのだから、世に言われる「高僧」の如き領域に達しているとしてもおかしくはない。
 本人たちは、そんなことはないとおっしゃるのだろうが、我々とは異なる心境に到達していることは確かなことであろう。
 
 かつて、立花隆さんは米国の宇宙飛行士を取材して、宇宙に行かれた方々は、一般人とは異なる概念を持つようになるというようなことを書いていたことを回想しているのだが、それは、宇宙に行くそのものよりも訓練の結果なのであろうと考えている。観光的に宇宙を見たからとて、人間が変わるとは思えない。
 我々一般人にはそんな機会が訪れることもないし、宗教上の難行苦行にも縁などなく、せいぜい頭の中であらぬ考えを巡らすしかないのである。
Commented by クォリア at 2013-05-03 04:40 x
確かに思います。平々凡々に過ごしている脳もそれなり。
休止している遺伝子を目覚めさせるためには「難行苦行」が必須なのでしょうね
Commented by watari41 at 2013-05-03 11:27 x
本来、すごい脳力を人類は持っているんだと昔から言われてますが、我々はその1%程度を使用するのみで、この世を終わってしまうようです。クオリアさんコメントをありがとうございます。
by watari41 | 2013-05-01 14:05 | Comments(2)