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余日録


by watari41

日本の酒(2)

 焼酎ブームは、今やバブルと化してしまったようだ。どうしてこんなことになってしまったのだろうか。製造者は一様に、これからの反動を恐れている。
 日本人は移り気である。酒に関してもそうだ。一時期、地ビールがもてはやされ各地で沢山のビールが生まれたが、今や見る影もなくなってしまった。

 焼酎は、かつては下等な酒でしかなかった。このあたりではバクダンと呼ばれ酔うために貧乏人が飲むものだとされていた時期があった。
 戦後の頃である。旺盛なアルコール需要を満たすために、わが町の造り酒屋さんが大掛かりな焼酎製造プラントを設置した。原料であるサツマイモを集め10年ほどはフル生産が続いた。工場の近所である我が家はそのプンプンたるニオイを嗅がせられていたものである。
 しかし高度成長と共に焼酎は飲まれなくなった。所得が向上したこともあるが、酒米が容易に入手できるようになり本業に力を入れるようになったのであろう。

 ウイスキーが急速に伸びてきたのもそんな頃に重なる。「洋酒天国」というPR雑誌がでたりして、ウイスキーを飲むことに文化的雰囲気をかもし出すことに成功したのである。
 そのウイスキー会社の有名社長がとんでもない失言をしたことがあった。東北地方を指してのことだが文化程度の低い「熊襲(クマソ)の子孫」とやったのである。蝦夷と熊襲を取り違えたのはいうまでもないが、大変なヒンシュクをかい、お詫びの行脚に仙台まで来たことを思い出す。
 今や、その熊襲の焼酎にウイスキーは大打撃を受けている。もちろん日本酒もしかりである。もともとは九州南部の気候条件では清酒を造ることは難しく、やむなく焼酎を造っていたと思われるのだ。

 かつては嫌われた芋焼酎のニオイも喜ばれるようになり、もはやヤケザケなどではなくなった。しかし、一升数万円もするものは焼酎ではない。早く正常な姿に戻ってもらいたいと思う。
Commented by michiko at 2005-02-19 18:06 x
こうしてお読みして見ますと、戦後から今までのお酒の流行がいろいろ思い出されます。
お中元、お歳暮に外国のウイスキーが多かった時代もありましたね。
地ビールを飲みにわざわざ出かけたこともありましたっけ。
やはり、人は移り気なんですかしら・・・?
Commented by watari41 at 2005-02-19 19:46 x
michikoさんのいわれるように、外国の高級ウイスキーをありがった時代がありましたね。ジョニ黒などは今からみるとべらぼうに高かったですね。免税店で安く買えるのが楽しみだった海外出張の時代がなつかしいです。
遠い昔のような気がしますが、そんなに古いことでもないのですよね。
by watari41 | 2005-02-19 10:00 | Comments(2)