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余日録


by watari41

特許訴訟

 青色発光ダイオードの特許訴訟は8億円で和解した。発明者の中村さんはなお不満を表明している。プロスポーツの世界では年収数億円から数百万円程度の選手が一つのチームを作っているにもかかわらず、何ら疑問に思われることはない。しかしサラリーマンの世界でこのようなことはなじまないとされてきた。
 会社で新商品が巨大な売り上げを得るに至るには、多くの人たちの努力があるのだが、その種がなければ何事もできてはこない。その種である発明ををどう評価するかである。
 これまでは、量産化技術や販売などが重視されてきた。どんな種でも環境条件が悪ければそのままに終わってしまうからである。
 新商品には種を作った人が必ずいるものだ。非常に優秀な人だったり、特異な人であったりすることが多い。しかし、会社はこの人だけに高い報酬をあたえることはしなかった。発明者は不満をいだきながらも我慢していたというのが実態であった。会社全体の力だということになっていた。

 中村さんはこのような日本の風土に正面から意義をとなえたのである。正論ではあってもこうなるともはや個人はその組織に属することはできず、飛び出すしかなくなってしまう。日本国内でも受け入れるところはなくなる。
 今回の中村さんの行動には違和感を感じている人も多いが、これをきっかけにして日本の会社、社会の考え方が大きく変わっていくきざしがある。技術史というか産業史に残るエポックでもあると思う。

 イチロー選手は5年契約ながら44億円といわれている。所属するマリナーズの経営状態とは関係なく、それだけの支払いを受ける価値があるということだ。技術者にもそんなことがあってもよいような気がする。
by watari41 | 2005-01-12 14:49 | Comments(0)