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余日録


by watari41

数字のあれこれ(5)

 数字を用いることは一見して科学的なイメージがある。どういう根拠なのか、数字で示してくれなどというセリフを聞くことがある。だが数字に騙されてしまうことも多くある。数字のごまかし、いわば詐欺にあうこともしばしばである。個人だけではなく、公的機関も騙される。
 仙台では近年設立された私立大学が、壮大な架空の数字を作り上げて数百億円をだましてまさに無から有を作り上げてしまった。天才的詐欺師にかかると、数字はまさにマジックの道具みたいなものだ。作為的な数字を見破ることは案外にして難しいことだ。
 誰もが信じている書類の数字となるとなおさらである。有価証券証券報告書の偽造が問題にされている。これなどは、そもそも真実を書くことが前提にあるものだ。西武グループのイカサマが40年も通用したというのは、経済関連の数字は意外とあてにならないということを実感させる。
 銀行の不良債権の数字もくるくると変った。その都度基準が違うのだとの言い逃れがあった。原子力に関係した技術データーが改竄されていたことも記憶に新しい。科学的データが必ずしも真ならずである。

 人間の健康も数値化されてしまっている。昔の医者は顔色を見て肝臓が悪いとかの診断を下していたが、今や数字がどの程度悪いのかを示してくれる。患者の顔を見ることなく、ディスプレイの中に患者がいるのである。

 世の中には数字で表せないことも多くあることを最後にこの数字シリーズを締めくくりたい。親愛の情、感謝の気持ちだとか、人を悼むとか、ココロのなかまでは数字が入り込んでほしくないものだ。
Commented by schmidt at 2004-12-26 12:11 x
 「数字あれこれ」楽しんで読ませていただきました。数字はなるべく見ないで過ごせたらうれしいなと思います。一方、数字でなければ示せない事実や傾向もあり、思わず引き込まれることもあります。

 数字の操作によって事実をねじまげる不届きな者は言語道断です。それにつけても、正しい数字を正しく理解する方法を身に付けないと、不届きな者にだまされる危険もあって、なかなか厄介な世の中です。道路公団あり方に関する一連の議論の難しさは、多くの数字が登場していて、それらを理解しなければ議論そのものを理解できないということです。厄介なことです。
Commented by watari41 at 2004-12-27 09:44 x
 会議は踊るということが19世紀にありましたが、現代社会ではまさに数字は踊るという実感があります。数字の裏を読むということがひつようなのでしょうね。数字は数字でしかないはずですが、行間を読むみたいなことになってしまっているのは残念なことです。会計の数字というのは特にその感が強いですね。schmidtさんコメントをありがとうございました。
by watari41 | 2004-12-25 13:12 | Comments(2)