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余日録


by watari41

新築と修理

 古い建築物は文化財ともなると修理されて後世に伝えられる。国宝、重要文化財などいずれも当初の姿を残してはいるがそのままではない。我々は修復された姿を何の疑いもなく美しいと思って見ているが、世界遺産の指定を受けるときに問題になった。
 オリジナルなものではなくなっているというのだ。日本人の感覚では木材を使ったものであり、補修をしなければ長い年月をもたないものだと疑問に思ったことはないが、ワールドスタンダードではなかったのである。いろんな論議の末にやっと世界遺産と認められるようになったのは記憶に新しい。

 修理と新築という考えが、日本の税制にも表れているので面白いと思ったことがある。家を新築するといろんな税金がかかる。しかし同じお金をかけても古い家を修理したときには税金は安い。昔の家という認定なのだろう。家にかけた金額ではなくて、その状態に税金をかけるということで、古いものはいくらお金をかけようと古いということのようだ。

 機械設備にもそういうことがあった。新規設備には減価償却費が発生するが、修理だと経費で落とせたりする。日本の会計基準は、世界標準とは違うと問題視され合わせる必要があるといわれた。私はこのことには門外漢ながら、会計そのものにも問題があるのだろが、新しい物、古い物というような具合にモノに対する考え方そのものが日本独自のものであることに根本的な原因があるような気がしてならない。
by watari41 | 2004-12-15 15:11 | Comments(0)