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余日録


by watari41

物の価値

 ただのガラクタだと思っていたものが、驚くような高値だったり、値打ちモノだと信じていたものが、何の価値もないものだったりと、骨董の世界というのは素人にはわからない。鑑定団はこんな一喜一憂がテレビの人気番組になるゆえんなのであろう。

 意外なところにモノの価値が生ずる時がある。歴史的価値だったり、文学的価値、産業史的価値だとか数え上げるときりがないほどにいろんな価値がある。金銭的にはゼロでも個人の思い出の品々とか、関係のない人がみると何でこんなものがというようなモノがいくらでもある。単なるハンカチが、ブランド名があるだけで2桁も値段が上がってしまうこともあるようだ。

 日本人は、モノとの一体感というか自分の分身みたいに思ってしまうところがある。工場では機械を我がことのように大事にする人も多かった。したがって手入れを怠ることはない。機械が発する音一つで異常を感じ取ってしまう。かつてモノは大切にされていた。昔から代々にわたり使われたものも多い。我が家では用具の裏側に先祖の名前が記された物差し・秤りなどがあった。だが単位が変ってしまい使うことはもうできない。
 最近ではモノへのこだわりはなくなってきている。時代のイメージに合わせて、家具一式を取り替えてしまうことなどもあるようだ。

 先日、町内で火事があったときに、何事もさておいて真っ先に仏壇から位牌を取り出して逃げたという老人がいたが、こんな感覚は残念ながらだんだんと失われていくのだと思うのである。
by watari41 | 2004-12-01 13:35 | Comments(0)