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余日録


by watari41

津波移民

 自粛ムード・風評被害で観光地はいずこも想像以上のダメージを受けているようだ。わが町の農協老人会一行は、毎年行っている小旅行を山形市の南にある上山温泉に50名の団体様で出かけた。大きなホテルだが、客はガタ落ちで館内のバーなどはいずれも閉鎖している。
 宴会後にゲタをはいて表にでるが、開いているクラブなどは少ない。その一つに入ると大歓迎だ。フィリピン人のホステスがいた。20才くらいかと思ったが、そのくらいの娘がいるんですと聞いて驚いた。お決まりの事情で日本にやってきているようだ。
 政府が発表している景気動向などよりは、東北地方はきわめて厳しいのが実態である。

 わが町の主要な産業に「いちご」がある。250軒の農家がこれで飯を食べているのだが、いずれも海岸地帯に畑があるので津波で壊滅している。海岸から5kmのところに畑を持っていた農家がギリギリのところで助かった。小旅行に参加していたので来年は独り占めでウハウハだろうというと、そうはならないのだという。現在の市場環境と流通機構がそれを許さないのだという。一軒だけがやっていても大手流通会社から相手にされないそうだ。自分で販売先を開拓しなくてはならないそうである。厳しい世の中である。

 こんな状況に救いの手を差し伸べてくれたのが北海道伊達市である。140年前に官軍に敗れて無禄に近くなった、仙台支藩のわが伊達氏は2500名の士族を引き連れて伊達市を切り開いた。その後裔の方々が、土地・住居・日当も支払うので、こちらに移住して、この地に「いちご」を広めてくれませんかという誘いなのである。まず10名ほどの農家がこれに応じた。平成の大移住がこれから始まるのかもしれない。
 復興への有効な手立てがまだ何も打たれてはいない。担当大臣は、まるで賊軍を扱うかのような態度でさっさと辞めてしまった。
 海岸地帯の復興は容易なことではない。再び人が戻る事はあるのだろうかと思う。浜通りが回想の世界にならないことを願っている。
Commented by クオリア at 2011-07-11 20:31 x
イチゴライン思い出深いですね農家へ直接行ってよく苺を買って食したものでした。あの風景はないのでしょう
惨い津波でした。山元に行った時には伊達政宗公が高台にある腰石に座って海を眺めていたとゆう石に腰かけ美しい山元の海をわたくしも眺めていました。その高台も津波で失われたと聞いています。思い出が無くなるのは淋しいものですね
Commented by watari41 at 2011-07-12 08:28 x
 政宗が腰をかけた石は、山元町の最南端のところです。津波は30トンもの石を運ぶのですね。三陸のある町では昭和8年のその運ばれた記念石を埋めてしまったというのでから無茶なことをやるものです。
海岸に行くと、動いた巨大なテトラポットを見ることができます。クオリアさんコメントをありがとうございます。
by watari41 | 2011-07-07 20:26 | Comments(2)